鎌倉市と仙台市が表彰
徳洲会体操クラブ(神奈川県)の亀山耕平選手は11月3日に同県鎌倉市から市民栄誉賞を、5日に故郷の仙台市から特別表彰として「賛辞の楯」をそれぞれ贈られた。これは10月の第44回世界体操競技選手権大会種目別・あん馬で金メダルを獲得したことを評価したもの。同クラブは、齊藤優佑選手も10月の第6 回東アジア競技大会の跳馬で2位となり、団体で銀メダルを獲得するなど、勢いを見せている。
亀山選手は11月3日に鎌倉市の市民栄誉賞を受賞、これに先立つ10月24日に松尾崇・鎌倉市長を表敬訪問した。
「日の丸を背負って戦うのが夢でした」と亀山選手がはにかみながら世界選手権で獲得した金メダルを披露。松尾市長は間近で見るメダルに「すごいですね!」と、目を輝かせながら健闘をたたえ、次世代の選手を育成する徳洲会かまくら体操クラブの活動にも触れて「これからも子どもたちの力を引き出していってください」とエールを送った。
これを受け米田功監督も、「身近に世界で活躍する選手がいることが、子どもたちに与える影響は大きい」と、ジュニア育成にも注力していく考えを表明した。
また、亀山選手は5日、奥山恵美子・仙台市長から「賛辞の楯」を贈られ、「これからも体操の魅力を発信していきたい」と熱い思いを訴えていた。亀山選手は2009年に全日本種目別選手権大会のあん馬で優勝を飾って以降、表彰台から遠ざかっており、世界選手権で結果が出なければ引退を考えていたというだけに、喜びはひとしおの様子。
亀山選手の弱点は「どんなに小さな大会でも緊張してしまうこと」だというが、世界選手権では緊張をコントロールすることに成功した。「コツは考え抜くことです。不安があるからこそ緊張する。不安のもと、つまり試合と向き合って考え尽くすことで気持ちに踏ん切りがつきました」(亀山選手)
次の目標は16年にブラジルのリオデジャネイロで開催される五輪だ。「ご支援、ご声援いただき、本当にありがとうございました。この結果に満足せず、誰にも追い付けない高みを目指して頑張ります」と、亀山選手ははじけるような笑顔で抱負を語った。
齊藤選手が銀メダル
齊藤選手は10月に中国で開催された東アジア大会に出場し、日本の団体・銀メダル獲得に貢献した。出場種目はあん馬、跳馬、平行棒、鉄棒で、それぞれトップクラスの演技を披露したが、なかでも得意の跳馬では難度の高いヨー2(前転跳び前方伸身宙返り2回半ひねり)を完璧にこなし15.050のハイスコアをつけて種目2位となった。米田監督は「優勝してもおかしくない最高の演技」と絶賛。チーム日本のメンバーからも口々に賞賛の声がかけられた。
齊藤選手は昨年、個人総合W杯・イギリス大会で6位となったが、日本代表として戦うのは今回が初めて。「絶対に金メダルを取ると思っていたので悔しい気持ちもありますが、アウェイのなかで全力を出しきれたことは、今後の自信につながります」と齊藤選手は笑顔で振り返り、「五輪を最終目標に、来年、再来年の世界選手権で優勝を目指します」と力強く語っていた。
けがに泣いた団体戦
同クラブは11月2日から2日間開催された第67回全日本体操競技団体選手権大会に出場、予選3位からの逆転優勝を狙ったが、残念ながら4位に終わった。
けがに泣いた大会だった。エースの田中和仁選手は肩のけがが完治せず欠場、齊藤選手も途中で足首を痛め、満足のいく演技ができなかった。
決勝では亀山選手があん馬で予選よりも技の難度を上げて高得点をたたき出すなど順調な滑り出しを見せたが、齊藤選手が得意の跳馬でまさかのミス。着地の際に足首をひねり、両肩をかつがれ退場する事態となった。齊藤選手は「踏みきる場所を誤り着地に失敗しました。100回に1回あるかどうかのミス」と悔しさをにじませた。
ただ、チームはアクシデントに動揺することなく後段の演技をうまくまとめ、米田監督は「予期せぬことが起きても良い演技ができたのは強くなってきた証拠」と健闘をたたえた。また、「強豪チームには絶対的エースと呼べる選手がいます。うちにも田中がいますが、今後は恐らく齊藤。自覚をもって取り組んでほしい」と、次期エースの成長に期待を寄せていた。
徳洲新聞2013年(平成26年)11/11 NO.903 より