滋賀県知事、大津、栗東両市長を表敬訪問
中瀬選手の母校などで激励会
6月25日、北京五輪に出場する徳洲会体操クラブの中瀬卓也選手が、地元滋賀県の母校や県庁などで開かれた壮行会で、金メダル獲得を誓った。
中瀬選手は、滋賀県大津市の出身。同級生から誘われて、市立日吉台小学校に通っていた9歳のときに栗東ジュニア体操クラブで体操を始めた。高校は、琵琶湖大橋を渡った隣の栗東市にある県立栗東高等学校に通い、体操競技の環境が整った県立栗東体育館で練習に励んだ。
その高校時代には、史上7人目となるインターハイでの個人総合2連覇達成などの活躍を見せ、日本体育大学に進学。2004年のアテネ五輪では、日本代表入りを惜しくも次点で逃したが、今回は見事代表の座を勝ち取った。
中瀬選手はこの日、まず日吉台小学校を訪問。壮行会には、同校の全児童ら約300人が参加し「オリンピック出場おめでとう」と祝福の言葉を送った。
1年生は手作りの金メダルと優勝カップをプレゼント。中瀬選手は笑みを浮かべ、体操漬けだった小学生時代を振り返りながら「何か一つでも目標を見つけて、一生懸命頑張ってほしい」と語りかけ、「これと同じ金色のメダルを持って帰ってきます」と力強く宣言した。
嘉田由紀子県知事と会見、マスコミとの質疑応答
- 知事
- おめでとうございます。五輪出場は、県民にとって夢であり、誇りです。
- 中瀬
- ありがとうございます。人生をかけて練習してがんばります。
- 知事
- 普段はどちらで練習されていますか?
- 中瀬
- 所属している徳洲会体操クラブの神奈川県鎌倉市のトレーニングセンターで練習しています。
- 知事
- いつから体操競技を始められたのですか?
- 中瀬
- 小学校4年生のときに、友だちに誘われて始めました。
- 知事
- 体操をやっていて、うれしかったことは?
- 中瀬
- できなかった技が、努力してやっとできたときです。
- 知事
- 得意な種目は?
- 中瀬
- ゆかとつり輪です。
- 知事
- 今回、どんな気持ちで代表決定の試合に臨まれました?
- 中瀬
- 前回のアテネ予選では、6人枠に入れず7人目。4年に一度だけだと力んでしまいました。自分にとって、今回は雪辱戦でした。平常心でやろう、普通でいこう、自分と言い聞かせて臨みました。
- 知事
- 好きな食べ物は何ですか。
- 中瀬
- 肉が好きですが、甘いものも好きです。
- 知事
- 近江牛ですね。北京にお肉を持っていくわけにはいきませんね。バームクーヘンを差し入れしましょう。私にも同じ世代の息子がおります。県民の方々が期待しています。平常心で持てる力を発揮してください。
- 記者
- 代表が決定した瞬間、どんな思いがよぎりましたか。
- 中瀬
- 演技終了の時点で、代表入った感触がありました。4年前も同じ感じはありましたが外れて……。まだ、精神的に未熟でした。これを逃せばあとがないという気持ちで、喜びよりほっとした思いです。
- 記者
- 抱負を聞かせてください。
- 中瀬
- 次のオリンピックまで続けたいと思っていますが、30歳で限界を超えているでしょう。今回、メダルが獲れるがどうかで、人生がかわると思っています。金を目指します。
- 記者
- 徳洲会体操クラブに入団されていかがでしたか。
- 中瀬
- アテネ五輪で金を獲った米田さん、水鳥さんという先輩方には、練習の仕方について刺激を受け、盗んできました。
- 記者
- オリンピックでの演技を誰に一番見てもらいたいですか。
- 中瀬
- 大津市に住む両親です
- 記者
- メダルを狙える、メダルに近い種目は?
- 中瀬
- 鉄棒がメダルに近いと思っています。初出場なので、新鮮な気持ちで臨みます。
- 記者
- 栗東体育館の思い出は?
- 中瀬
- 朝から晩まで練習した場所。中3のときに指導を受けた山崎先生(現在、池谷体操クラブ)が思い出深い。
- 記者
- インターハイ2連覇された当時、オリンピックは意識しましたか?
- 中瀬
- インターハイ2連覇は史上7人、そのうち5人は五輪出場。当然意識しました。アトランタ五輪は雲の上だったけど、シドニーでは、頑張ればいけるという思いになった。
- 記者
- 体操を始めたきっかけは?
- 中瀬
- 小学校の同級生がバック転をやっていて、憧れて我流で練習したらできました。その同級生に誘われて、栗東体操クラブに入りました。
- 記者
- 今、その同級生は何をされていますか?
- 中瀬
- ……知りません(笑)。
地元訪問が大きな励みに 金メダルを獲得して報告を
午後からは、國松正一・栗東市長を表敬訪問した後、母校栗東高校を訪れた。同校での激励会には、全校生徒約560人と、来賓として招かれた在校当時の校長や担任教諭らが参加。合間のトークイベントでは、在校当時の懐かしい逸話などが紹介される場面もあった。和やかな雰囲気の中、後輩である同校体操部主将や生徒会長が「優勝を目指して頑張ってください」とエールを送った。
祝福と激励を受けた中瀬選手は、「高校時代は練習漬けの毎日でしんどかったが、それで今の自分がある。金メダルを目指してチーム一丸で頑張りたい」と語った。
最後は、ラフォーレ琵琶湖で盛大に催された滋賀県体操協会主催の壮行会に出席。
多くの方々に激励された中瀬選手は、「今回の地元訪問は、大きな励みになりました。金メダルを持ち帰って、皆さんに報告したい」と決意を新たに、帰途に就いた。
北京五輪体操競技・男子は、8月9日から予選がスタート。12日に団体決勝が行われ、19日まで個人総合と種目別が争われる。日本代表チームは、7月いっぱい国内合宿を行い、8月8日の開会式に臨む。
~2008年記事~